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名古屋高等裁判所金沢支部 平成3年(ネ)34号 判決 1992年10月26日

主文

一  甲事件原告の控訴に基づき、

1  原判決主文第一項を取り消す。

2  甲事件原告と甲事件被告との間で、乙事件被告が昭和五四年七月一九日にした額面普通株式一二〇〇株の新株発行が不存在であることを確認する。

二  乙事件被告の本件控訴を棄却する。

三  甲事件における訴訟費用は、第一、二審とも甲事件被告の負担とし、乙事件における控訴費用は乙事件被告の負担とする。

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判

一  甲事件原告

1  主文第一項1、2同旨

2  訴訟費用は第一、二審とも甲事件被告の負担とする。

二  乙事件被告

1  原判決主文第二項を取り消す。

2  乙事件原告の請求を棄却する。

3  訴訟費用は第一、二審とも乙事件原告の負担とする。

三  甲事件被告・乙事件原告

1  本件控訴をいずれも棄却する。

2  控訴費用は各控訴人の負担とする。

第二  事案の概要及び争点

一  乙事件被告(丸友青果)は、昭和四一年四月に金沢中央卸売市場内において行う青果物の仲買業務等を目的として設立された会社で、設立以来、甲事件原告(良作)が代表取締役をして今日に至っている。

そして、昭和五一年六月の段階での丸友青果の発行済株式は一二〇〇株であったが、良作がその筆頭株主として株式二七〇株を有していたのを始め、その父北形三次郎(三次郎)や弟北形実(実)ら親族と隣人の徳川方親族ら合計一一名が丸友青果の株式を所有していた。

その段階での甲事件被告・乙事件原告(敏)は二〇〇株の株主であった。

そして、昭和五七年に三次郎が死亡して後、丸友青果の経営権を巡って、良作らとその兄弟の野村外志子(外志子)、実及び外志子の子敏らとの間で北形一族を二分する紛争が表面化してきた。

二1  甲事件(昭和五四年の新株発行)の発生

敏側は、丸友青果が昭和五四年七月一九日に額面普通株式一二〇〇株を発行し、そのうち六〇〇株を敏が引き受け、合計八〇〇株の株主になった、そのとき良作は一〇〇株を引き受け、合計三七〇株の株主になった、よって筆頭株主は敏に交代したと主張するのに対し、良作側は、右昭和五四年の新株発行は三次郎死亡後に分かったもので、それまでは全く知らず、不存在であり、依然として良作が二七〇株で筆頭株主であり、敏は二〇〇株に過ぎず、筆頭株主の交代はないと主張し、争いが表面化してきた。

2  良作の、昭和五四年の新株発行が不存在であることの理由要旨は、次のとおりである(これはまた甲事件の争点でもある)。

(一) 昭和五四年七月五日開催されたという、授権資本一二〇〇株を四八〇〇株に増加させる内容の株主総会決議は不存在である。

(二) 右新株発行について昭和五四年七月九日開催されたという取締役会決議も不存在である。

(三) 右新株発行についての公告及び株主への通知を欠いている。

(四) 右取締役会決議によっても、右新株発行は株主に対して新株引受権を与え、株主に対し、その所有する株式一株につき新株一株をもって割り当てることになっているが、実際には、新株を敏に六〇〇株、実と三次郎に各二〇〇株、良作と徳川弘(徳川)に各一〇〇株を割り当てたもので、取締役会で議決された割当条件に違反している。

(五) 新株のための払込みは、見せ金によるもので、資本の充実を欠く。

(六) 右新株発行は、敏の丸友青果の支配権を確立するためのもので、著しく不公正な方法によるものである。

三1  乙事件(昭和六三年の新株発行)の発生

良作側は、丸友青果が昭和六三年六月一六日に額面普通株式二四〇〇株を発行し、そのうち九〇〇株を良作が、一五〇〇株を西孝夫(西)がそれぞれ引き受けたから、昭和五四年の新株発行を有効とみても、良作は合計一二七〇株の株主であり、敏は八〇〇株に過ぎない、よって良作は依然として丸友青果の筆頭株主であると主張するのに対し、敏側は、右昭和六三年の新株発行は無効であり、依然として敏が筆頭株主であると主張し、二次的紛争が生じた。

2  敏の、昭和六三年の新株発行が無効であることの理由要旨は、次のとおりである(これはまた乙事件の争点でもある)。

(一) 右新株発行について、昭和六三年五月二三日開催されたという取締役会の開催通知が取締役の実になされていない。

(二) 右新株発行についての公告及び株主への通知を欠いている。

(三) 新株のための払込みは、見せ金によるもので、資本の充実を欠く。

(四) 右新株発行は、良作の丸友青果の支配権を確立することを目的になされたもので、著しく不公正な方法によるものである。

3  これに対して丸友青果は、右主張を争うとともに、次のとおり反論する(これもまた乙事件の争点である。)

(一) 仮に、昭和六三年の新株発行が無効であったとしても、それは西の引受分八〇〇株のみに限られる。

(二) 仮に、右主張が認められないとしても、敏の乙事件請求は、権利濫用である。

第三  争点に対する判断

一  甲事件について

1  授権資本増加の株主総会決議について

証拠(甲〔以下特に断らない限り甲事件の甲号証番号〕一、乙二、原審証人野村外志子、原審良作本人)によると、丸友青果では昭和五四年七月五日午前一〇時から本店において臨時株主総会が開催され、一一名の株主全員が出席し、授権資本一二〇〇株を四八〇〇株に増加させる旨の定款一部変更の決議が成立したかのごとき議事録(乙二)が作成されているが、代表取締役の良作によって同株主総会が招集された事実もなく、当日株主が参集した事実もないこと、右議事録は、取締役の記名部分も含め、すべて外志子が作成したものであるところ、外志子は経理係をしていた従業員に過ぎず、取締役ではなかったこと、右議事録には代表取締役良作、取締役徳川、同実の各名下に各自の印鑑が押捺されているが、これらの印鑑は、かねてより、経理事務上必要ということで、外志子が同人らから預かり保管しており、外志子がそれぞれ押捺したことが認められる。

敏は、丸友青果は良作、外志子、実らの父三次郎が実質上経営していたものであるところ、三次郎承認のもとで新株発行が実行されたから、株主総会の議決があったと同視すべきであるとか、決議の瑕疵の程度は軽いなどと主張し、原・当審証人野村外志子の証言中には右主張に沿う部分があるけれども、原審良作本人の供述に照らし、にわかに採用できず、他に三次郎の個人経営に近い会社であるとか、取締役は従来すべてを三次郎に一任していたとか、本件の新株発行を三次郎が承認していたとまで認める証拠はない。

右認定によると、右株主総会決議は不存在というべきである。

2  新株発行についての取締役会決議について

証拠(甲一、乙四、原審証人野村外志子、原審良作本人)によると、丸友青果では昭和五四年七月九日午前一〇時から取締役会が開催され、前記三名の全取締役が出席し、本件新株発行に関する事項が決定されたかのごとき議事録(乙四)が作成されているが、当日取締役会が開催された事実はなく、また取締役会を招集した取締役もなく、右議事録は、前記株主総会の議事録と同様、外志子が作成し、全取締役名下にそれぞれ印鑑を押捺したものであることが認められる。

敏は、右取締役会が開催された事実がないとしても、良作を始めとして丸友青果の取締役全員が本件新株発行に関する事項を了承していた旨主張し、原・当審野村外志子の証言中には右主張に沿う部分があるけれども、原審良作本人の供述に照らし、にわかに採用できず、他に右事実を認めるに足りる証拠はない。

右認定によると、右取締役会決議も不存在というべきである。

3  新株発行についての株主への公示について

本件全証拠によるも、新株引受けに関する株主に対する通知・公告をした事実は認められない。

すると、その点の手続も不存在である。

4  新株割当条件について

証拠(乙四、五の1ないし5、六)によると、前記取締役会決議に従うかぎり、丸友青果は、昭和五四年の新株発行においては株主に対して新株引受権を与え、株主に対し、その所有する株式一株につき新株一株をもって割り当てることになっているが、実際には、新株を敏に六〇〇株、実と三次郎に各二〇〇株、良作と徳川に各一〇〇株を割り当て、以上の五名以外の株主には新株を与えなかったことが認められる。

すると、本件新株は、取締役会で議決された割当条件に違反して発行されたことが明らかである(もっとも、取締役会決議が存在し、かつ有効とするならば、その有効に決議された割当条件違反をもって、新株発行の違法事由とすることは、意味があるが、前認定のとおり、取締役会決議は不存在であるから、これを不存在と評価する以上、その決議で決定されたという割当条件違反を独立の違法事由として捉える必要はない。新株発行の意図を窺わせる事情として理解すべきである。)。

5  新株の払込みについて

証拠(甲九、乙一の1、2)によれば、右新株一二〇〇株のための払込金として昭和五四年七月二〇日以降、一二〇〇万円が新株式申込証の記載の新株の払込を取り扱う銀行である北陸銀行戸板支店で保管されていること、右一二〇〇万円は昭和五四年七月一九日丸友青果の当座預金から右取扱銀行別段預金に振り替えられたものであること、帳簿処理としては、丸友青果の借受金勘定からの支出としているが、同日ころ現在で同口座の残高は五九八万五〇〇〇円のマイナスとなっていることが認められる。

ところで、新株申込人の払込みは、申込人が所定の取扱場所においてなすことを要するところ、前記認定によると、各申込人が個別に取扱銀行に対して払込金(または申込証拠金)を払い込んだものではなく、新株を発行する丸友青果自身が自己の預金口座から払込金全額を振り替えて払い込んでいることが明らかである。しかし申込人が代理人によって取扱銀行に払込みをすることも肯定されるから、その点の手続上の問題はさておき、現実に各申込人から丸友青果に払込金相当額が払い込まれていたかどうかにつき以下判断する。

敏は、昭和五四年六月二七日外志子の夫である父野村米作(米作)が丸友青果に対し六〇〇万円を貸し付けたところ、その後米作が敏の本件新株払込金として右貸金債権充当(実質は相殺)する旨丸友青果と合意した、或いは敏が米作から右貸金債権の譲渡を受け、丸友青果との間で本件新株払込金債務と相殺したと主張するごとくである。しかし、新株式申込人から会社に対する債権をもって払込債務と相殺することは許されない(商法二〇〇条二項)ので、敏の右主張は、主張自体失当である。しかも証拠(甲九、乙一〇の1、一一の1)によれば、丸友青果では米作からの借入金を同日備品である冷蔵庫代金四七〇万円その他の支払いに当てて支出してしまっていることが認められるのであって、右借入金を同年七月一九日に新株払込金に充当し、或いはこれと相殺することは資本充実の趣旨に反するばかりか、そのような合意が成立したことを認めるに足る証拠もない。結局、敏の払込については、現実に払込期日に払込金六〇〇万円が払い込まれておらず、後日すなわち翌昭和五五年三月三一日に至って相殺処理されたものである。その結果、昭和五四年七月一九日払込期日時点ころでは、仮受金残高は払込金全額に満たず、借受金勘定から一二〇〇万円を支出すると、五九八万五〇〇〇円のマイナスになることは前記のとおりであり、帳簿記載からいっても資本充実に欠ける結果になっており、敏申込分について、到底適法な払込があったとはいえない。

次に、敏は、三次郎が同人分の申込証拠金に当てるため、同年七月五日に二〇〇万円を丸友青果の当座預金に振り込んでいると主張し、甲九、乙一八の記載及び原・当審証人野村外志子の証言中には右に沿う部分がある。しかし、証拠(当審証人北形利幸、原審良作本人)によれば、三次郎は、丸友青果の経営方針や経営内容をある程度は見ていたものの、基本的には良作、外志子、実ら子供達の自主性に任せており、兄弟仲良くやって欲しいと願っていたこと、良作は、本件新株発行につき外志子らから何ら知らされず、徳川からも何も聞いていなかったことが認められるうえ、三次郎の丸友青果に対する入金が本件新株発行の取締役会決議の前であることなどからみると、良作を筆頭株主とする株式配分割合を、実質不利益を受ける良作と十分協議することなく、大きく変動させ、同族会社内部の紛争の恐れにつながる本件新株発行を三次郎が了承していたとは到底認め難く、右二〇〇万円の丸友青果への入金をもって、本件新株の払込金の予定支払いと認めるには疑問がある。

敏は、徳川が同人分の申込証拠金に当てるため、同年七月一四日に現金で一〇〇万円を丸友青果に直接持参したと主張し、甲九の記載及び原審証人野村外志子の証言中には右に沿う部分があるが、乙一八には、同日丸友青果の当座預金に振り込まれた旨の記載があり相違する。そして証拠(甲一、弁論の全趣旨)によると、徳川は新株発行の事実そのものを否定し、みずからの分の払込金支払いを否定していることが明らかであるから、これらを総合すると、徳川が新株を引き受ける旨の意思表示をしたこと自体に疑問があり(乙五の5は真正に成立したとは認め難い)、一〇〇万円が同人の意思に基づいて払い込まれたものとは到底認め難く、結局外志子が会社資金をもって払い込んだ可能性があるというべきである。

敏は、良作が同人分の申込証拠金に当てるため、同年七月一九日に丸友青果の当座預金に入金した旨主張し、甲九、乙一八の記載及び原審証人野村外志子の証言中には右に沿う部分がある。しかしながら、証拠(原審証人野村外志子、原審良作本人、弁論の全趣旨)によれば、良作が同日に一〇〇万円を丸友青果に入金したことはなく、外志子は良作の資金不足が予想されたので、良作に事情を話すことなく、同日一〇〇万円を用意して良作分として丸友青果に入金したことが認められ、その恣意的な処理に照らすと、良作の新株式申込みの意思そのものも疑問である(乙五の1は真正に成立したとは認め難い)うえ、その一〇〇万円は外志子の会社資金の流用であった可能性があり、到底良作の意思に基づく適法な払込とは認められない。

実の分について、原審証人野村外志子は、丸友青果の共済会の資金から実の分として二〇〇万円を借り入れ、それを実分の払込金として、丸友青果の当座預金に入金したと述べるが、共済会の会計が丸友青果の会計と完全に分離していたかどうか判然とせず、良作分についての不合理な処理の仕方をも加味して判断すると、右共済会の資金も実質的には会社資金に供されていた可能性がなかったとはいえず、この分も資本充実の点からみて適法な払込というには疑問がある。

すると、本件払込は、いずれも有効な払込とは認め難い。

6  新株発行の意図について

乙一六の1、2、一七の記載、原・当審証人野村外志子の証言中には、丸友青果は、株式会社北陸銀行から一二〇〇万円を借り入れ、昭和五四年三月三〇日に事業用として金沢市南新保所在の不動産を購入したこと、外志子は、丸友青果につき、右不動産の改造、設備費用が不十分であるということで、三次郎と相談のうえ、夫の米作に退職金を担保に六〇〇万円を借り入れてもらい、その金員を丸友青果に貸したこと、丸友青果は、そのうち四七〇万円位を前記冷蔵庫設置購入資金の支払いに充てたこと、外志子は、やはり三次郎と相談のうえ、右借金返済及びその他の資金を調達するために新株を発行することとしたとの部分がある。

しかしながら、証拠(甲六ないし八、乙一四の1、2、乙二〇の1ないし3、当審証人野村外志子、原審良作本人、弁論の全趣旨)によれば、良作は、三次郎の死亡後、丸友青果の経営についての協力を得るため、兄弟を訪れた際、外志子から丸友青果の経営権はうちの方にあると聞いたことから、調査に着手して始めて右新株の発行を知ったこと、確かに丸友青果の法人税決算報告書に添付の軽減税率適用所得金額等の計算及び同族会社の判定に関する明細書(乙一四の2)中には、本件新株の発行後の株主の株式の保有数が記載されていたが、良作は右明細書の記載に気付かなかったこと、良作は、右新株発行の件につき、長兄の北形誠治に相談したところ、実及び徳川との三名の取締役が一致協力できれば、問題ないとの助言を得、右新株の発行については静観することとしたこと、しかし昭和六二年ころ敏側から良作に対し、社長の退陣の要求があったことなどから、右新株の発行不存在確認請求訴訟を提起するに至ったことが認められる。右認定及び前記認定からすると、三次郎は、良作に何も知らせずに、社長である良作の地位を危うくし、内紛の種となるような新株の発行を了承するはずがなく、また外志子もそのいうように、単なる資金調達のために新株の発行を計画するのであれば、当然に一緒に仕事をし、弟で社長である良作に打ち明け、公正な割当条件のもとで発行するはずであるのに、旧株式一に対し新株式一とする新株割当条件を決議した旨の議事録を作成しておきながら、全くこれに反する割当をし、息子である敏に新株を多く割り当て、これを筆頭株主とするなど恣意的処理をしているのである。結局、本件新株発行については、敏側に丸友青果の支配権を確立しようとする意図があったとみられてもやむを得ないというべきである。

7  以上のとおり、本件新株発行は、授権資本増加の株主総会の決議、新株発行についての取締役会決議及び新株発行についての株主への公示の手続がいずれも不存在であり、有効な新株の払込みがあったとはいい難いうえ、敏側が丸友青果の支配権を確立しようとする意図のもとになしたものであると認められてもやむを得ない状況であるから、その実体的及び手続的瑕疵が著しい場合といわざるを得ず、不存在と評価するに値するというべきである。

すると、良作の本件控訴は理由がある。

二  乙事件について

1  当裁判所も乙事件の新株の発行は、無効であると考えるところ、その理由は、原判決八枚目裏五行目「係争会社の」の次に「事務所の」を加え、九枚目表三行目「甲第三号証」を「甲事件甲第三号証」と改め、次のとおり付加する他は、原判決事実及び理由「第三争点に対する判断二乙事件について」(原判決八枚目裏初行から一〇枚目裏一〇行目まで)記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。当審証人北形典子の証言を加味して考察しても、右認定を左右しない。

2  丸友青果は、仮に昭和六三年の新株発行につき敏主張の瑕疵が存するとしても、無効とされるべきものは、西が引き受けた株式のうち八〇〇株分に限られる旨主張する。

しかしながら、前記認定(原判決引用)に照らせば、右新株発行が丸友青果における自己の支配権を確立するとの良作の意向を受けて行われたものであること、良作引受分及びその余の西引受分についても実質的な資本充実を欠いていることが明らかである。昭和六三年の新株発行にかかる二四〇〇株は、そのすべてが無効と評価されるべきである。

丸友青果の主張は採用できない。

3  また丸友青果は、仮に右主張が認められないとしても、敏の乙事件請求は、単に丸友青果の支配権を確立するという個人的目的から出たものであるうえ、同請求が認容されることによって同社が受ける深刻な打撃に照らせば、権利の濫用であり認められない旨主張する。

しかしながら、昭和五四年の新株発行が不存在と評価されることは前判示のとおりであるうえ、その他原審良作本人の供述及び本件にあらわれた一切の事情を勘案しても、敏の乙事件請求が権利の濫用であると断ずることはできない。

丸友青果の主張は採用できない。

4  したがって、丸友青果の本件控訴は理由がない。

第四  結論

よって、良作の本件控訴に基づき甲事件原判決を取り消し、乙事件につき丸友青果の本件控訴を棄却し、主文のとおり判決する。

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